【ディスるを初めて使った日】
最近テレビやラジオで芸能人が「ディスる」という言葉をよく使っているのを聞く。松本人志も普通に使っているし、今日聴いたラジオでは伊集院光が連発していた。このディスるという言葉、ちょっと前までは使うと、バカにされる言葉の代表だったのを、僕ははっきり覚えている。
5年くらい前までは使うと笑われる言葉だった
ディスるというのは、ディスリスペクトの略で、相手を批判する、否定する。といった意味で、HIPHOPカルチャーの用語が発祥である。MCバトルで相手を批判したり、悪口を言ったりするときに使う言葉はわかりやすいディスだ。
僕はHIPHOPが好きなので、テレビで「ディスる」が使われる前からこの言葉は耳にしていた。日本のラッパーはディスるという言葉を普通に使っていたし、僕がラップを熱心に聴いていた2000年代前半にはよく聞く言葉だったので、おそらくその前から使われていたのだと思う。そしてある時(2010年頃だと思う)民放の音楽番組にラッパーが出て、会話の中で「ディスってますねよー」という言葉を使うと、司会者は急にきょとんとした顔になり、「ディスる?何それ?」といい、その意味を知ると、ディスると使ってそのラッパーをイジるような反応をとったのだ。その司会者の反応に僕も驚いたが、一般の認識で、ディスるは、新しい言葉で、まだその時は市民権を得ていなかったのだ。少し古いがコギャルが使っていた謎の言葉もこの状況に近かったと思う。
「ディスる」を使う旅
今は市民権を得た「ディスる」という言葉。テレビでも普通に使われているし、意味も浸透しているので、僕も是非「ディスる」を使いたくなった。新しい単語を意識して使うのは初めてかもしれないが、HIPHOPカルチャーへの敬意も込めて、僕は積極的にディスるを使っていきたい。その記念すべき最初の「ディスる」は自分の納得できるものにしたい。そう思うに至った僕は、「ディスる」を使う旅に出た。
今までは恥ずかしくて使おうと思っても使えなかった言葉だが、いざ使おうと決めると意外と対象がみあたらない。普段の生活で、ディスるが生まれる場面は意外と少ないし、中国であれば、それこそディスの宝庫だったが、日本で暮らすと、その穏やかなピースフルな環境に気づく。
日本はディスが似合わない
日本でHIPHOPがいまいち市民権を得ていないのも、なんとなく納得できた。こんな平和な世の中じゃなかなかHIPHOPのような反骨カルチャーが生まれにくいし、ディスる場面なんてそうそう存在しないのだ。
改めて日本の良さを再確認したところで、腹が減ってきたので帰宅することにした。母親のおいしい手料理を食べて、家族でお笑い番組を見て過ごすと今日も一日楽しかったと心から思える。一日の最後に、娘とお風呂に入るのが最大の楽しみなのだが、風呂で娘と遊んでいると、娘が私の股間を指さし、「ピーナッツみたい!」と言い、その瞬間「ディスってんじゃねーよ!!」と自然にディスが使えた。ありがとう。初めてのディスが君で良かった。
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