
いつもありがとうございます。バヤシ(@muraba1)です。
私は本が大好きで、中国にいる時は年間100冊以上読んでいました。
最近は中国の事を話す機会も多いので、中国の歴史が分かるおすすめの作品を紹介します。
特に現代中国のリアルが詰まった作品を集めました。
小説もありますが、ノンフィクションでありながら、日本に暮らしていると、感じえないような激動の世界を生きた様子に心が揺さぶられます。
目次
1.圧倒的なリアリティ!近代中国がこれで分かる!!「ワイルドスワン」
アヘン戦争、日清戦争、文化大革命と続く中国の激動を生き抜いた親子孫3代にわたる女性の生きざまを描いたノンフィクション作品です。
中国が大きく混乱していた時代だけに、一般人の生活がここまで虐げられているのかと驚愕しました。
これが歴史上の事実であるとは知りながらも、文化大革命時代にとられた恐ろしい迫害は、事実と受け入れにくい程狂気じみています。
上中下の3巻セットと分量の多い大作となっていますが、現在の中国がなぜこのような形になっているのかを知りえるエッセンスが詰まっています。
全世界で1000万冊売れたベストセラーですので、教養としても読んでおいて損はないです。
時系列で近代中国の歴史が分かるので、中国に興味のある人は必読だと思います。
読んでほしい本No1の超絶おすすめです!!!
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2.山崎豊子が描く中国残留孤児のストーリー「大地の子」
「大地の子」はノンフィクションではありませんが、そのベースとなっている中国残留孤児についての記述は、史実に基づいています。
中国残留孤児の主人公「陸一心」が大人になり、幼い頃、離れ離れになった日本人の父親と、出会うというストーリーなのですが、主人公は日本が敗戦した後、中国に残された子供で、残留孤児と呼ばれる人です。
その主人公がどのように成長し、仕事で出会った日本人が父だと知った時の心の震え等が丁寧に描かれています。
中国で育つということは、反日教育を徹底されるということです。
そんな敵国と教えられた日本と、日中国交正常化によって、再び関わりを持つことになり、日本の企業が中国へ進出するようになっていきます。
文革当時、日本人として中国で生きていく厳しさの描写が痛々しくもあり、胸にきます。
満州を作るために32万人の開拓民が日本から派遣され、敗戦により、帰国を余儀なくされた中、帰国出来ずに残された子供が2700人いて、残留孤児として中国で育てられた事実は、あまり日本人でも知らないのではないでしょうか。
戦争孤児という、重いテーマを扱っていますが、山崎豊子の手により、極上の人間ドラマに仕上がっていますので一気に読めます。
個人的に残留孤児に強い関心が生まれた作品です。映画化もされた人気作品です。
現代中国の歴史や、日本企業の進出の歴史なども感じることの出来る中国小説です。
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中国残留孤児の情報を合わせて読むと尚理解が深まります。中でも岩波新書の本はおすすめ。
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3.文革時代の暴君っぷりが忠実に描かれている「毛沢東の私生活」
毛沢東の行った政策や、対応によって、多くの人が犠牲になったことは事実です。
中国にいると、毛沢東の話はタブーであり、中国政府の発表でも「毛沢東は7割正しく、3割は間違っていた」というものでしたので、多くの人が表面上は毛沢東のことを露骨に批判することが難しいのが現実です。
中国共産党を作った人物なので、毛沢東を否定することは、現在の共産党政権を批判することに繋がるので、公に批判するのは難しいでしょう。
「毛沢東の私生活」は、毛沢東の主治医だった筆者が書かれた作品です。
一番身近にいた筆者が実際に見た、中国の赤い皇帝と呼ばれた毛沢東は、実に下劣で欲望に溺れた姿でした。
中国では国民党を打ち破った英雄とされ、強く、正しい男の代表として存在していた男の本性が垣間見れる作品です。
毛沢東時代の近代中国の歴史を知るにはおすすめの一冊です。
作者はこの本が出版された3カ月後に、原因不明の死亡を自宅の浴室で遂げるというわくつきです。
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4.どんな辛い環境でも夢は見ることが出来ると気づく「バルザックと中国の小さなお針子」
文化大革命時代、主人公は知識分子とされ、下放政策と呼ばれる政策のもと、農村部の劣悪な環境の中で強制労働を強いられました。
今まで農作業をしたことがない青年が、畑を耕し、休むことも許されず、勉強や本を読むことも許されない毎日でした。
そんな奴隷のような悲惨な生活をおくる中でも、主人公は本と出会い、外の世界を感じることが出来、夢をみて、恋をすることができる。
人間の心の豊かさと、力強さが感じられる作品です。
文革時代を扱った本は、重苦しい内容が多いですが、「バルザックと中国の小さなお針子」にはそれがほとんど感じられません。
小説として見ると、その巧みな暗喩や、皮肉を込めた語り口、ほのかに官能的な表現など、心地よく読み手を誘導してくれる技巧豊かなスリーリーテラーぶりは見事です。
本が読めることの喜び、僕も中国で感じていたので、規模は違いますが共感しました。
本文中の
「指先が本に触れると、青白く照らしだされた手が、人の命に接している感じがした」
という表現とか、特に好きですね。
近代中国の暗い部分を描くのではなく、その中でも夢を見ている青年に感動しました。
若い人にも是非読んでほしい中国の小説ですね。
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5.文革時代の混乱が手に取るように分かって笑える「兄弟」
カンヌ映画祭で鮮烈な印象を残した張芸謀の「活きる」の原作小説です。
活きるが良かったので原作を読んでみました。
「兄弟」は、文革期から経済発展を遂げた現在の中国の様子を、2人の主人公をテーマに書かれています。
中国の混乱を上手に利用して、億万長者になった李光頭(弟)と、貧乏なまま死んでいく宋鋼(兄)のストーリー。
中国でもかなり話題になった作品です。
文化大革命から開放政策を行い、世界2位のGDPまで成長していく中国の様子が余すことなく、且つ面白く書かれています。
今の日本に生きていると、感じえることの出来ない、混沌、不条理、矛盾が満載です。
まさに中国の歩んできた道をリアルに描かれており、そのトピックも、処女膜美人コンテストや、豊胸クリーム、売春宿、等、非合法で、非道徳的なものばかり。
混沌の時代を生き抜くには、どのような能力が必要で、どうすれば良いのか、が何となく理解できる1冊。
今、中国で働いている人、今の中国人がなぜこれほどパワフルであり、時に利己的なのか、この本を読めば分かります。
数ある中国小説の中でも、リアリティではトップだと思います。
面白くて、読後感はどこか物悲しい。おすすめです。
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6.現代中国小説の最高峰と言っても過言ではない「赤い高粱」
作品の舞台は1930年代の中国の東北部山東省。
祖父と父が抗日ゲリラとして日本軍と戦うシーンは、反日気運を高めるような描写もありますが、中国側からの見方としてはリベラルに近いと思います。
中国で生活をしていると、中国人のパワーを感じることがよくありましたが、その根底に流れるものが描かれています。
社会の混乱や、人の欲望、権力等の醜い部分が満載です。
表現は過激ですが、それこそが、中国のリアルと感じてしまうのは、描写が丁寧で、スピード感が心地よいからでしょうか。
中国小説の中でも文学として一つステージが違う感じがするほど完成度が高いです。
ノーベル賞受賞の中国人作家である莫言の作品は、どれも面白いですが、やはり「赤い高粱」が一番おすすめです。
山東省の田舎を舞台とするこの小説には、すぐにそこに高粱に囲まれたその大地の持つ魔力的な力と、登場人物からほとばしるように出てくる圧倒的なエネルギーを感じます。
今の中国を否定的に捉える人も多いですが、この躍動感のある生き方は見習うべきところも多いと思います。
中国文学好きは必読だと思います!
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7.天安門事件を中国人作家が描いた意欲作「時が滲む朝」
天安門事件も中国では語られない話題の一つです。
特に自由化という共産党にとって最も恐れる活動なので、天安門事件についての情報規制は特別厳しいものになっています。
1989年に起こったこの事件は、多くの中国人学生の犠牲者を出し、世界中にメディアを通して流されたので、あたえるインパクトはとても大きな出来事でした。
物語は、中国の小さな村に生まれた梁浩遠と謝志強が大志を抱いて大学に進みますが、そこに起こった天安門事件。
中国の等身大の若者の姿が描かれており、祖国を愛する気持ちと、自由を願う気持ちの間で揺れ動く感情の表現が良いです。
中国人作家が日本語で書いた「時が滲む朝」は、小説好きが読むと、日本語として違和感を感じる部分があるかもしれません。
私も日本人作家では使わないであろう文章表現や文法が若干気になりましたが、
読み進めるうちに、それが味となり、たまに入っている漢詩には風情を感じました。
読後感は極めてさわやかで、中国人主人公2人の勇気ある行動から活力が貰える作品でした。
天安門事件のことを、当事者の視点で理解したい人におすすめです。
中国人が日本語で書くというハードルを越えて芥川賞受賞を受賞した作家です。
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8.今の中国の若者「上海ベイビー」
1970年代の筆者による作品で、中国では発禁処分となった作品です。
内容は麻薬と酒とセックスで溢れています。
正直、食傷気味になるほどの堕落した生活が延々と描かれています。
主人公ココの、上海という多くの人の欲望と、権力が渦巻く世界に身を置き、必死で生きている様子がかかれています。
廃退した世界で生きていかなければならない辛さや、欺瞞の世の中に絶望しながらも、そこに自分の存在を見出すような強さも感じました。
過激な性描写に気がとられがちですが、生きる目的のようなメッセージ性も感じられる作品でした。
好みは分かれそうな感じですが、上海のダークサイドを感じることが出来ます。
中国人の若い感性を感じる中国小説です。
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番外.歴史を知れば、旅行が何倍も楽しくなります「街道をゆく 中国・江南のみち」
司馬遼太郎の作品は昔から愛読していますが、その歴史的示唆に富んだ語り口は、一度ハマると抜けられないですね。
司馬遼太郎が根強いファンに愛されているのは、本を読むと、その世界へ陶酔することが出来るからだと思います。
司馬作品の中に、「空海の風景」というのがあるんですが、これを読んだら、1200年以上前の話を、実際にその場で体験したような、細かい描写や、時代背景の説明に圧倒されます。
「街道をゆく 中国・江南のみち」は司馬遼太郎の旅行記である街道をゆくシリーズです。
江南地区と呼ばれる、上海、蘇州、無錫、杭州、寧波等を巡りながら、日本との関わりがどのようにあるかを説明できるのは、歴史家でもある司馬遼太郎ならではだと思います。
正直、「街道をゆく 中国・江南のみち」を読むまでは、歴史を通じて日本との関係がこんなに深かったと知らないことも多かったです。
実際に生活をしていた場所なので、凄く興味が持てました。
司馬遼太郎の作品には、他にも中国を扱ったものが多いので探してみてください。
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まとめ
僕が大好きな現代中国のリアルを感じることが出来る作品を紹介しました。
有名なものから、マイナー作品までありますが、名作揃いです。
文化大革命、天安門事件、毛沢東、開放政策、中国残留孤児等のキーワードで興味がある人がいれば是非読んでみてください。
小説もありますが、ノンフィクションでありながら、日本に暮らしていると、感じえないような激動の世界を生きた様子に心が揺さぶられます。
また新しく中国の小説やノンフィクションでおすすめがあれば更新していきます。
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